講師プロフィール
監修 陣内秀信 HIDENOBU JINNAI / Supervisor
日伊協会評議員、法政大学特任教授、東京大学大学院工学博士。ローマ大学名誉学士。
アマルフィ市より「マジステル(偉大なる文化人)称号授与。イタリア共和国功労勲章。
イタリアを中心にイスラーム圏を含む地中海世界、東京の都市研究・調査を行う。
著書:
『東京の空間人類学』(筑摩書房、1985年)
『ヴェネツィア-水上の迷宮都市』(講談社、1992年)
『都市と人間』(岩波書店、1993年)
『水と都市』(編著、岩波書店、1993年)
『水の都市 江戸・東京』(編著、講談社、2013年)
『水都学』全5巻(共編、法政大学出版局、2013-2016年)
『水都ヴェネツィア-その持続的発展の歴史』(法政大学出版局、2017年)
『建築史への挑戦―住居から都市、そしてテリトーリオへ』(共編、鹿島出版会、2019年)
『水都東京―地形と歴史から読みとく下町・山の手・郊外』(筑摩書房、2020)
『都市のルネサンス イタリア社会の底力』(古小烏舎、2021年)
『イタリアのテリトーリオ戦略 甦る都市と農村の交流』(共編著、白桃書房2022年)
『トスカーナ・オルチャ渓谷のテリトーリオ 都市と田園の風景を読む』(共著、古小烏舎2022年)
『東京水辺散歩~水の都の地形と時の堆積をめぐる』(共著、技術評論社2022年)
受賞歴:
サントリー学芸賞、地中海学会賞、イタリア共和国功労勲章、建築学会賞、ローマ大学名誉学士号、サルデーニャ建築賞、アマルフィ名誉市民、ANCSAアルガン賞他。
ワインから始まるテリトーリオの旅
イタリアでは1 9 8 0年代中頃から、田園の美しさ、農村の豊かさを再評価する時代に入りました。
この国では本来、都市と田園/農村は密接に結びつき、共通のアイデンティティをもつ独自の土的まとまりを形づくってきました。それを「テリトーリオ」といいます。
土地・水・空などの地理的空間、さらには、政治、経済、社会の圏域をも包み込む包括的な概念です。輝く都市の文化も、その後背地としてのコンタード(周辺農村地域)の豊かさがあってこそ生まれたのです。工業化、市場のグローバル化の中で長らく忘れられていた我がテリトーリオに潜む無限大の可能性に、イタリア人自身が今、気づいたのです。
個性ある各地のテリトーリオが生み出す最大の文化、く郷土料理>とくワイン>に、想像性豊かに新たな光が当てられています。「エノガストロノミーア」(ワイン十食文化)こそ、今のイタリアの精神を最もよく表す言葉です。ワインから始まるテリトーリオの旅を楽しみましよう。
アマルフィ市より陣内秀信教授へマジステル称号授与の
セレモニーの様子(2019年9月)
櫻井芙紗子
FUSAKO SAKURAI
Sommelier, ACCVI director
公益財団法人日伊協会 理事
イタリアワイン文化講座ディレクター
法政大学社会学部卒業。専攻は環境社会学『都市の歴史的景観保存と街づくり』
某一部上場企業でブルーノ・ムナーリの絵本『きりのなかのサーカス』『1945シリーズ』(いずれもブルーノ・ムナーリ著・谷川俊太郎訳、フレーベル館。)の日本語版をはじめとする海外版権の仲介のほか,ミシュランガイドの東京・香港版の創刊等に携わる。イタリア・ボローニャの有名ワインショップでの修行を経てイタリアにてソムリエ資格取得。
みなさん イタリアワイン文化講座ACCVIへようこそ!
現代のイタリアワインの多様性は、イタリアという国の成り立ち、その積み重なった歴史の複雑さそのものを表していると言っても過言ではありません。その豊かな歴史的・文化的背景があるからこそ、ひとつひとつの個性がキラリと光る、イタリアのワインが生まれるのです。
またイタリアワインを知ることは、世界的なグローバリゼーションの大波にあらがいながらも、しなやかに、したたかに生き残ろうとする小さな家族経営のワインの作り手たちの挑戦の記録を知ることでもあります。
本講座を通じてそのいくつかに光を当て、テリトーリオを丁寧に読み取っていくことによって、わたしたちの暮らし、生き方、ひいては日本の農業・食料の未来を考えるきっかけになれば幸いです。